私はタバコを吸ったことがありません
正確には34歳の夏に一度だけふかしたことがあります(笑)
国際がん研究機関(IARC)は、喫煙や飲酒は口腔・咽頭がんの確実なリスクだと報告していますが、日本人を対象とした大規模な研究はほとんど行われていませんでした。
そこで国立がん研究センターなどの研究グループは、多目的コホート研究「JPHC研究」で、がんリスクを上昇させる要因について大規模な調査をしています。
※「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。
今回、研究グループは、1990年と1993年に、岩手、秋田、長野、沖縄、東京、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄、大阪の11保健所管内に在住していた人のうち、がんの既往がなく、アンケート調査に回答した40~69歳の男女約9万5,525人を、2010年まで追跡して調査しました。
それにもとづいて、喫煙・飲酒と口腔・咽頭がん発生リスクとの関連を調査。
口腔がんは、口腔内の舌、歯肉、口腔底、口蓋、唾液腺などの部位に発生したがんを指す。また、咽頭がんは、咽頭を構成する上咽頭、中咽頭、下咽頭および扁桃等の部位に発生したがんを指す。
研究に参加した人のうち、追跡期間中に222人が口腔・咽頭がんを発症し、うち女性は62人(27.9%)だった。
男性では、現在喫煙している人の口腔・咽頭がんの発症リスクは、吸わない人に比べて2.4倍に上昇。
また、累積喫煙指数(1日喫煙箱数×喫煙年数)が60以上のグループでは、吸わないグループと比べて、発症リスクが4.3倍に上昇しました。
部位別では、下咽頭がんへの影響がとくに大きく、たばこを吸うグループで約13倍、累積喫煙指数60以上のグループで約21倍、発症リスクが増加しました。
また、週に1回以上飲酒するグループは、飲まないグループに比べ、口腔咽頭がんの発症リスクが1.8倍増加した。エタノール摂取量に換算して、週に300g以上(1日平均4合以上)の飲酒を続けているグループでは、発症リスクは3.2倍に上昇した。 部位別にみると、下咽頭がんへの影響が大きく、週に1回以上の飲酒するグループで3.3倍に、週に300g以上酒を飲むグループでは10.1倍に上昇しました。
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さらに男性では、たばこを吸わず、飲酒量の少ない(エタノール換算で週に150グラム未満)グループに比べ、たばこを吸い、飲酒量の少ないグループでは、口腔・咽頭がん発症リスクは1.8倍に上昇。
また、たばこを吸わず、飲酒量が多いグループでは、口腔・咽頭がん発症リスクは2.1倍増加しました。
さらに、たばこを吸い、飲酒量が多いグループでは、飲酒と喫煙の影響が足し合わさり、発症リスクは4.1倍とさらに増加しました。
女性は、男性に比べ喫煙率が低く、飲酒量も少ない傾向がある。それでも、たばこを吸わないグループと比べて、たばこを吸うグループで口腔咽頭がんの発症リスクは2.5倍に上昇。
また、酒を飲まないグループとくらべて、週にエタノール換算で150g以上を飲酒する女性グループではリスクが5.9倍に上昇し、飲酒によって口腔・咽頭がんのリスクは大幅に上昇することが分かりました。
今回の研究で、喫煙と飲酒は、ともに口腔・咽頭がん発症リスクを増加することが確認された。特に下咽頭がんで大きくリスクが増加することが分かった。 今回の結果について研究グループは、「これまでの国際的評価を支持する結果です。日本人における口腔・咽頭がんの予防のためには、喫煙せず、飲酒量を控えることが重要であることが再確認されました」と述べています。
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